2014年4月の整体


ことしも 春先特有の

肩と首の極度不調症候群の時期になった

とくにデスクワークで一日中 パソコンのまえにむかっている人は

この時期つらさは ひとしおである。



年度が切って落とされ しごと初めで

 新しい区切りのスタート 仕事量が一挙に拡充するような理由もあるのだろうが

4月、体がつらい一番の原因は その気候にある

暖かさと冷たさの微妙に入り混じった

中途半端な状態がこの時期の特徴である

猫の目のようにめまぐるしく変動する気候に

くたびれてしまう

ひるがえって

まわりの自然の動きをみてみれば

花も樹木も

あたらしいエネルギィを開花させ 旺盛な生命力をみせているのであり

ヒトも それにつられて

一気に躍動しようとすると

とたんに 花冷えのような気候におそわれ

威勢のよさもしりすぼみとなってしまう

こうしたちぐはぐとした感覚が たびかさなると

とくに慢性的に肩首に疾患があり 運動不足気味なヒトにとっては

全身の払拭しきれない不快となる



それを解決する手早い手段は

ひとつに陽気のいい日に屋外で運動

いまひとつは

温泉入浴のような心身をすっかりあずけれる経験をすること



じっさい 4月の運動と温泉入浴は

それまで寒さに対抗しようとしていた身体全体が

おもいっきり羽根をのばして寒さ対策から解放される

充足感でみたされるはずである

むかしより 春の湯治 とうじ が 値千金といわれるのは

春の時期の湯治が

寒から暖への転換の

心身を整える効果をふんだんにもっていることからくるものである

ゴールデンウイーク連休の意義は じつにここにあって

この期間を利用して

体の調整をおこなうためにと 官と民が熟慮した結果である

連泊の準備をして 自然にかこまれた ひなびた温泉のある旅籠屋 はたごや なんぞに行き

終日 運動と湯けむり入浴を くりかえせば

効果はてきめんであるはずである

ことのついでに書けば

さっこん

食事の質を落として経営を維持しようとする旅籠屋は多くなっているので

この点 注意が必要である

さて 問題は

休みもとれなく 運動もできず 温泉もいけない ヒトと

運動も温泉もやってみたが おもうような改善が図れないヒトである

そこで

整体への道が残されている

肩と首の極度不調症候群の場合 

その整体は

意図的に 長時間 仰向けで施術をおこなう





もちろん いたずらにゆっくりとしたテンポでおこなう意味でなく

仰向けの姿勢が じつは ねらうところの 

頚椎の第2番から胸椎の第5番にかけてのエリアが

いちばんゆるむからで

熟練した施術者に 仰向けにねてといわれ

この姿勢をとり 次の施術を待つその時にすでに

体は弛緩が活発にはじまっている

この状態から 整体家の大きな両手で

さきに述べた 

頚椎の第2番から胸椎の第5番にかけての筋肉群を

くまなく ほぐされると

それまでの緊張が

なだれをうつように崩壊していく感覚が味わえるはずである




まず こうした前奏の段階にたっすれば 次に

個別の微細な部位の施術に入り込んでいく

そこで今回の 肩と首の極度不調症候群に遭遇した場合

とくに念入りに施術すべき 筋肉を紹介しよう

肩甲挙筋 けんこうきょきん といい

頚椎の第1から第4の横突起からはじまり

肩甲骨に接続する筋肉で

まさに首から肩にかけ 肩甲骨を引き上げている筋肉である

深層にて縦断するこの筋肉は

硬直をみると

まず首の上部のツマリ感 すなわち圧迫感におそわれ

首 頸部の動きをにぶくする

さらに 肩甲骨の動きを制限し

首から肩にかけての広汎なエリア全体の軽快感をうばうのである

肩首のコリを誘発する代表的な筋肉であり

その正常をうばわれると 頭痛を出現させる元ともなる

さらに 特徴的なのは 肩甲挙筋 けんこうきょきん のその形状である

大きなねじりを見せていることである

下図をみていただきたい


  



 



図をみれば 明らかであろう

きれいなねじれがみてとれる

これがどういう意味をもたらすかというと

この筋肉が柔軟の時は 首肩の動きが

そのねじれのおかげでより多彩で複雑な動きが実現する

ところが いったん硬直してしまうと

ねじれのおかげで可能だった優美で奥行きのある動きがとまり

直線的で無骨な動きになってしまうのである

また

これを柔軟にするときの整体施術は ひと工夫を加えないと

なかなか効果がでない

ひとつはこの筋肉が深層に位置し とらえにくいこともあるが

やはり ねじれがあることにより

そのねじれの方向にそった弛緩の方法が必要な事で

らせん状に この筋肉を動かすのが それである

いったん この筋肉がゆるむと

極度な不調であえいできたヒトも

とたんに それなりの平穏がもたらされる

こうして 一点でも軽快が獲得できたなら

そこを手がかりとして

次々と やつぎ早に

不調となる病巣を追い詰め これを転換し 

健全なものにしていく作業なのであるが

あたかもそれは オセロゲームように

黒と白を一瞬にして逆転していくような

ワクワクする作業である

4月の整体は こういうことが多い日々である