2015年11月の整体


横浜市内の705戸をようする大型マンションの

地盤工事のくい打ちで

本来強固な地盤にまで達して くい打ちをすべきところを 

計50本のうち8本が 地盤に達しておらず

その原因で 建物が傾いているというニュースが

先月の10月14日にとびこんできた。



三井不動産が2006年から販売を始めた 

パークシティLaLa横浜 というマンションである。

施工主は三井住友建設で 実際のくい打ち工事の下請けは旭化成建材。

その後

同種のくい打ちデータを改ざんして建設されたという疑いのある建築物が

全国にひろがり 大きな問題に発展する気配である

マンションに住む人の猜疑心はつのるばかりである。

自分の住んでいる建物に その可能性はないのか?

こうした くい打ち工事の欺瞞は

明らかになった特定の業者がおこなった限定されたことだろうか?

このような疑念はつきまとうのである。

いずれにしろ この事件は

地盤のくい打ち工事は それが強固な岩盤に到達しない場合

建物全体の建てかえをせまる程に重大な工程と

再認識する事となった。



さて

建設におけるくい打ち工事が建築の存続を左右するように

人体も重量バランスにおける不具合が

立つ姿や 歩行時に重大な影響をあたえ

ひいては 身体活動の質を大きく変え

全身へのはかりしれない波及をもたらすことがある


今月は

こうした 身体の重量バランスという視点で記してみよう

今月 その中で問題にするのが

最下部で重力を受ける

ヒザ下〜足首に至るエリアである

このエリアは最下部で体重を支え

かつ

足首の関節を補強し その動きの柔軟を確保する為

4つ骨格の構成で次のように たくみにできている

ヒザ下は ふくらはぎとスネがある下腿 かたい と呼ばれ

このなかは2本の骨 脛骨腓骨 で構成される。

それを受けるのが足にある 距骨踵骨である。



脛骨 けいこつ  足に向かい 内くるぶしとなる
腓骨 ひこつ 足に向かい 外くるぶしとなる
距骨 きょこつ  
踵骨 しょうこつ  カカトである

いくつかのイラストで その位置関係を理解してみよう











上から見ると以下のような位置である



この4本の骨が

重量をうけながら かつその衝撃を分散吸収し

足首を柔軟な方向に動きまわれる仕組みをもっているわけである

脛骨がヒザ下からの荷重を受け

それを距骨におろし

それを踵骨で受け

地面に接するというながれである

この時 腓骨は この荷重を受けることをになわない

腓骨の役割は

あくまで荷重を受ける事にあるのではなく

接地した時の足からの衝撃の吸収と

足首から先の三次元方向の運動性能を高める ことにある

体重を支えるのは あくまで脛骨がおこなう

それは

脛骨と距骨の位置関係を仔細にみると理解できる

下図である



腓骨はほとんど距骨に荷重をかけえない

距骨を脛骨と共同で包みこむ形である

これによって

脛骨と腓骨がたがいに距骨の安定化 つまりは足首の安定化に

貢献するところとなる

次に

距骨にかかった荷重は そのまま踵骨に伝わるが

問題となるのは

その踵骨の負荷のセンターが

脛骨のセンターとかさならず 微妙に脛骨の外側に ずれることである

もちろん

脛骨と腓骨をふくめた最外端を結ぶ総合ラインのセンターには

おさまるのであるが・・・

つまり下図のような

パワーポイントの位置となるのである

この微妙な ずれ

一見 非常に不安定な印象をあたえるのだが

じつはここにこそ 人体の恐るべき叡智がかくされている



その叡智とはどういう事かというと

荷重自体は脛骨が受け 距骨に伝えるのであるが

荷重のバランスは

脛骨のみで になうのではなく

腓骨も巻き込んだ 脛骨と腓骨の共同でバランスを保持する

というメカニズムになるのである

つまり重心ポイントとバランスの関係になるが

こうした仕組みにより

足首の可動域がより広まり 重心が身体の動きにつれ

よりめまぐるしく動きやすくなる結果をもたらす

これが叡智である

ところが

この仕組みが逆に とんでもない不都合を

生み出す原因にもなる

それは 腓骨が

本来は体重を受ける役目を持って無いにもかかわらず

腓骨側に体重が乗ってしまうクセがでることである

その典型が O脚である

こうして腓骨に体重がかかってしまうと

本来腓骨はこれに耐えきれないので

それをまわりの筋肉群がそれをにない

腓骨の弱さを補うことになるのである

その結果 脛骨の使用度が低下し

また腓骨の動きもなめらかさを欠くようになり

結局は本来負担が少なかった筋肉群の酷使となり

ふくらはぎの筋肉は硬くなり いつもふくらはぎがだるく

行きつく先は

膝、股関節、骨盤、腰 へとじわりじわり影響がでてくる

当然 こうした症状は 逆の順序をたどって起こることもある

つまり

膝、股関節、骨盤、腰の外側へのねじれが

脛骨と腓骨の役割をそこなうように誘発することである

O脚とは このような怖さをもっているものなのである











さて

人体における重量バランスを

ヒザ下からのエリアで考察してみたが

建設工事におけるくい打ち工事の重要度と同様

人体における重量バランスの不具合も

放置すれば その程度によっては

一生の不覚となるやもしれない

危険をはらんでいることがお分かりになったと思う