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2017年2月の整体

 

最も寒い季節の2月 

そのうら悲しい寒さを象徴するのが 夜半の地下道への階段に吹きさらす烈風である。

地下鉄の最終電車の刻限に近づけば 地上に出る駅の階段も人影は少ない。

この日も こうした時刻に地下鉄・覚王山の駅の階段を降りようとすると

ある紳士がスーツに帽子という粋な姿で

階段を軽快に昇って来るのに出くわした。

冬の冷たい風が旋廻し 何やらピンクの紙片が舞っていた。



その時の光景は 

その紳士の足取りの早さとは対照的に周囲に放たれる雰囲気が

熟成し風雪にもまれてきた風格のようなものがあり

一篇の映画のシーンのようにひきつけられるものがあった。

そして そんな私の視線を感じたのか

紳士が顔をもたげて私を見た。

なんと かつて よくMIKUNIに来院していた アナスタシオさんだった。

(実名をデフォルメしています)


「 アナスタシオさん ! 」

「 聖徳先生 ! こんなところで 先生にお目にかかれるとは…」

「 すっかり 歩けるようになったんですね! 」

「 ええ、自分でもびっくり仰天 こんなに歩けるようになったんです ! 」
 

アナスタシオさんは 一年ほど前に 股関節が悪くてヨチヨチ歩きしかできなく

整体MIKUNI に通院 数回来ていたが

みるみる改善し そのうちぱったりと音沙汰がなくなり

どうなったかなぁ とときおり思い出していた患者である。

70歳ぐらいだったはずである。

その人が こんなに若々しい動きができるようになるとは・・・ 

「 先生どこにかよっていて だいぶ良くなり 
  
  それから先生に教えていただいた体操をやり続けたら こんな具合になったんです 」

「 良かったですねぇ! 」

「 ほんとうに びっくりです いちじは もうダメかなぁと 思ったんですけど… 」

アナスタシオさんは そのころ夫人が突然に亡くなったころで

それまで 元気に歩いていたが 夫人を亡くしてすぐ

股関節痛や でん部の痛みに突如みまわれ

跛行となり 足を引きずるようにしか歩けなくなったしまったのである。

ある人の紹介で  整体MIKUNI にやってきたアナスタシオさんは 

失意のどん底にあるように 表情も暗く とぼとぼと歩くしかなかった。

私のみたては 夫人の死のショックが大きく

急に体型が変わってしまい 強い猫背、極度のO脚、頸椎の突出で

体の全体のバランスが狂い

股関節とでん部の強い筋肉硬直がおこり

また大腰筋などのインナーマッスルが萎縮し

急性の股関節痛とでん部痛が発症した というもので

私の指示どうりの毎日の体操で 数か月で戻ると伝えた。

整体へは 三ヶ日おきにキッチリ通院 ほどなく

改善の兆候が出てきたころ ぷっつり姿をみせなくなった。

自宅でやる体操は しっかりと教え 律儀にそれは励行していたので

整体にこなくなっても 私も希望は持っていたのである。

「 私は  アナスタシオさんが別人かと思いましたよ 」

「 実際 体も心も 別人になったように自分でも思います・・ 」

「 そうですか、 いったい なにがあったんですか? 」

「 なにもかにも ただ 先生の教えて下さった体操をやっただけなんですけれど
  
  それを死に物狂いで あれから 毎日毎日 やってたんです・・
  
  そしたら ある日 突然 つきものがストンと落ちたように 歩けるようになったんです 」

「 なるほど 」

それから あれやこれや アナスタシオさんと立ち話をして別れたが

このように つきものが落ちるように 突然に痛みがなくなることも体にはよくある。

颯爽とアナスタシオさんは地上へ消えていったが

なにやら 心は暖かくなり

階段に吹きすさぶ2月の夜風も ひどくこころよいものに感じてきたのである。


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