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2018年2月の整体

 
 
羽生結弦の右足首の悲鳴


2018年2月17日

羽生結弦はフィギュアスケートで金メダルを獲得した。

その演技直後のインタビューの中で

自分の右足首について こんな風に語っている。

羽生『 とにかく本当に右足が頑張ってくれたなと思いました・・ 』

続いて質問者が 

『 演技終了直後に右足を触っていましたよね、あれは痛みですか?』

羽生 『 いやぁもう、感謝です。感謝の気持ちだけです! 』



又 その翌日は

羽生『 痛み止めを飲まない状態では

     ジャンプで降りられないし、ジャンプも飛べない 』

さらに 回復のメドについては

羽生『 治療の期間がほしい 』とのみ答え 見通しは語らなかった



と 戦いすんで穏やかな会見の中で 

初めて右足首の状態について切実な実情を語った。



実際 羽生の右足首の状態がどうなのか?

多くの人はかたずをのんで 

2月16日のショートプログラムの羽生の滑りを見たのだが

この時点では 右足首の異常は現れず

ここで 羽生の完全復活思った人も多い。

翌 2月17日フリーの演技では

羽生の滑りの前半は快調であったが

後半になると異変が現れ

回転の着氷に乱れが生じた。

結局 最終的に金メダルを手にしたのだが

この時点で

羽生の右足首は完全に治癒されていないと確信した人は多いはずである。


事の起こりは、
 
2017年11月9日に 羽生が練習中、

4回転ルッツの着氷時に 右足首を痛め 競技の続行をただちに中止し

それ以降 詳しい病状を明かさぬまま 3か月を経過し

ギリギリで 平昌オリンピックに臨んだ。

このため

羽生の右足首が一体どんな損傷でどの程度なのか?

どんな治療を だれが行っているのか?

はたして オリンピックにどんな姿で登場できるのか?

と 周囲は様々な憶測を呼び

緊迫の時間がもたらされることになった。


 そもそも 羽生結弦の右足首のケガは

右足首の外側の靭帯の損傷であることは発表されたが

それがどの部位の靭帯であるかは明らかにされなかった。

発生時のビデオ、などから推測するに

以下のような靭帯の可能性が考えられた。

下図をみてほしい

靭帯が合計5つある。

このうちいずれかの靭帯、あるいは複数の靭帯の損傷に絞られる。


(図中の@からCの番号がふってあるのは骨であり 4本の主要な骨である。)




外側靭帯 がいそくじんたい  1
 前距腓靭帯  ぜんきょひじんたい
 2
 踵腓靭帯  しょうひじんたい
 3
 後距腓靭帯  こうきょひじんたい
       4
 前脛腓靭帯  ぜんけいひじんたい
 5  後脛腓靭帯  こうけいひじんたい


靭帯とは 骨と骨を結ぶ蝶番 ちょうつがい のような役割をしており

いわゆる捻挫の場合 骨が折れたり、骨にヒビがはいるか、

あるいは靭帯の損傷が起きる。

靭帯損傷も大きく分けると

完全に断絶するか、部分的な断絶か、炎症のみなのか

と3つに分かれる。

羽生の場合

靭帯の具体的な名称は公表されず

靭帯の完全断絶では無いということだけは発表されたのである。


足首の捻挫は スポーツでも日常でも頻繁に発生する障害のひとつであり

とくに外側の捻挫が圧倒的に 内側の捻挫より多い。

それは 外側の靭帯構造が 内側の靭帯構造に比べて

劣っている構造的由来による。

外側は 外側のくるぶしが安定性が強く その分 相対的に靭帯構造が

内側に比し弱くなっているのである。

今回 羽生も外側の足首に発生した。





通常 足首の捻挫の場合

最も好発するのが 外側靭帯 がいそくじんたい の3本の内いずれかであり

その中でも

前距腓靭帯の痛めるのが最も多く

次に多いのが 前距腓靭帯と踵腓靭帯の合併損傷なのだ。

さらに

下腿の2本の骨である 脛骨と腓骨を結ぶ

 前脛腓靭帯、 後脛腓靭帯 の損傷も時にある。
 
こうした靭帯の損傷の完全回復の時間は

当然 その程度にもよるが

激しいく負荷のかかる運動が可能になるのは

数か月を最低見ることは普通であり

こうした点から 羽生がオリンピックに間に合うかどうかは

緊迫した時間との戦いであったはずである。

最終的に 右足首の悲鳴にさいなまれながら

金メダルを獲得してしまった 羽生のその対応と手腕にこそ

拍手と称賛をおくるべきであり

こうした事態が いつ自分の身に起こってもおかしくない

アスリートにとって 今回の羽生が足首痛の悲鳴を封印し

涼しげな表情で終始したドラマは

身に突き刺さる展開であったに違いない。


通常 靭帯損傷のリハビリは 単純な骨折に比べると

複雑な要因がからみ難度が高い。

このため

方法を誤ると 後遺症が残ることも多く 慎重な処置が求められる。

羽生が治療期間を明らかにしなかったのも

こうしたことをよく承知しているからこそと思われる。


 

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