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 2018年5月の整体マンスリー
筋肉が脚光をあびる理由
 

運動すれば 健康にとって良い、

筋肉を鍛錬すれば 体の調子が上がり さらに健康推進となる

ことは

だれでもわかるのであるが

具体的に 運動と筋肉鍛錬が どのような作用を身体にもたらすか?

とりわけ 筋肉鍛錬が どんな全身性の付与をもたらすかは

これまで あいまいであった。



ただ 筋肉の中でも中心を占める骨格筋は 

もっとも盛んにエネルギィ代謝をおこなっている器官であり

ひとたび筋肉量の減少がおこると

このエネルギィ代謝の低下をもたらし 脂肪が身体に残留する率が高くなる。

また 骨格筋は

熱生産による体温調整をおこなっており

筋肉量の低下は 体温調整がうまくいかず

冷え性、寒がり、暑がり、ホットフラッシュ、汗の異常

などの自律神経失調につながることになる。

ことなどは 骨格筋の大きな役割を示していた。


こうしたこと以外に

この最近の遺伝子操作による手法の筋肉の研究によって

筋肉の隠された全身性への多大な作用が明らかになってきたのである。


つまり

骨格筋が 単に体をささえ パワーを出し 内臓を保護したりというような機能、

全身のエネルギィ代謝、体温調整 等々以外に

内分泌器官としての重要な役割をになっていることがあきらかになってきた。

内分泌とは ホルモンなどを放出して 体内調整をすることで

身体全体の恒常性を保持するわけで

単に 物理的なパワー維持とはちがった

より 化学的な側面を筋肉が持っていることになる。


これまで 筋肉はどちらかというと

パワーやスタミナのもととしての 粗野で荒々しい物理的機能のイメージ

が強かったのであるが 実際の筋肉の機能が

内分泌という ソフトで目視できない所でも活躍していることがわかることで

筋肉の面目が一新するわけである。

筋トレに実質的効果が より奥深く重層的になってきた。



これで 筋トレマニアックの正当性に さらに拍車がかかることになっている。


最近とみに 筋肉が脚光を浴びる理由が まさに ここにある。


たとえば マイオカイン という名の

骨格筋から分泌される物質の総称のものがある。

このマイオカイン

すでに30個〜60個が発見され その機能を具体的にいっそうの研究が続く現在である。

具体的には このマイオカイン の働きは以下のようなものである。


 
大腸がんを抑制する 
  肥満を抑制する 
  糖尿病を抑制する
  肝臓脂肪を抑制する
  脳内の海馬の神経再生
  認知症の改善


これらは マウスやショウジョウバエでの実験の成功だけで

実際にヒトの中で確実に作用されるのか

これからの研究をさらに待つ段階ににとどまっているのもある。
 

マイオカインは 骨格筋から常時に分泌されており

骨格筋の量が少なくなれば その分泌も低下することがわかっている。

このため 骨格筋を維持すること あるいは鍛錬することで

その分泌の活性を期待するのである。


参考のために 現在判明しているマイオカインの名称をあげていこう。

 SPARC 
  IL―6
  FGF―21
 アディポネクチン
 アイリシン
 IGF―1

これらの マイオカイン は自分の力で筋肉で作れる物質である。



さらに

最近の糖尿病で 血糖値調整の分野で筋肉が注目をを浴びている。

つまり

骨格筋が血中の糖を筋肉内に取り込み 血糖調整に深くかかわっている。

骨格筋が糖の調整を行っている現場のひとつであるという事態である。



糖尿病についての発症メカニズムを今一度 おさらいすると、

まず、食べ物や飲み物は消化、分解され、腸でブドウ糖に変わりる。

ブドウ糖は血液中に流れ、筋肉や臓器のエネルギー源になる。

この血液中のブドウ糖の量が、血糖値である。

通常は、食事の後、血糖値が上昇。

この血糖値を下げるために膵臓のβ細胞からインスリンが分泌される。

インスリンは、体内で唯一血糖値を下げるホルモンで、

血液中のブドウ糖を肝臓、筋肉、脂肪組織などに取り込ませる働きをし、

それにより血糖値が下がる。

この時 インスリン分泌が低下すると ブドウ糖が細胞に取り込まれなくなる。

その結果、空腹時であっても高血糖状態になり

筋肉や内臓にエネルギーが運ばれず、全身のエネルギーが不足してしまう。

これが異常に長引けば すなわち糖尿病。

糖尿病の名称は、血糖が高まる結果、尿中に糖が排出されることに由来する


インスリンのみが血糖値を下げる作用をもつ唯一のホルモンであり

このため インスリンの分泌動態の破綻が糖尿病の発症となる。


問題は なぜ インスリンの分泌動態が破綻するか? 

それが 最近の研究により

多くの臓器器官のネットワークで インスリン分泌の制御をおこなう

恒常性維持機構があることが 徐々にあきらかになってきており

その臓器器官のネットワークの一員に 筋肉が顔を並べている。

具体的には

脳、肝臓、膵臓、筋肉がそれである。

肝臓に脂肪が蓄積すると、インスリンの効きが悪くなるインスリン抵抗性が全身に広がる

脳はストレスが蓄積し 脳に休息が不足するとホルモン分泌指示に異常をきたす。

筋肉は 筋量が不足し収縮弛緩にリズム性がなくなる 

つまり萎縮すると筋肉への糖の取り込み能力が低下。

結果的には 血液中にとどまる糖の量が増える。


糖尿病治療は 基本的には 運動療法と食事療法であるが

糖尿病とは つまるところ

摂取する食事の質量と 運動量のアンバランスから起きるわけで

その原因はきわめて単純である。

ただ インスリンの動態メカニズムが複雑なだけである。


人類の歴史をみれば

ほとんど飢餓との戦いであり

 体はこのため 栄養が不足の時を備えたシステム優先となってきた。

つまり 栄養が不足する場合 その緊急防衛策として

血糖値をあげて 各細胞と器官に栄養を供給しなければならない。

その役割を 血糖値をあげるホルモンがおこなう。

すなわち こうした場合の 血糖値をあげるホルモンは豊富である。

グルカゴンやアドレナリンなど・・・

これに対して

栄養過多という事態をまだ短時間しか軽々していないヒトの体は

栄養過多に対してのシステムが脆弱と言える。

つまり 血糖値を下げるホルモンは インスリンしか無いのである。

ここに 糖尿病の宿命がある。


筋肉が こうした現代人が苦しむ様々な病態に

 内分泌を放出することにより これを克服しようとしていることが

筋肉が脚光をあびる根本的な理由であり

筋肉鍛錬は 想像以上の果実をもたらすのである。


 

 

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