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2018年8月の整体
 唾液の恐るべき効用,つばをだす


つばの効用について 掘り下げてみよう。

唾液の恐るべき効用によって

あなたが目下の悩みのひとつが 少しでも緩和されるかもしれない!

それほど 唾液の効用は広域である。




唾液の流れ出る水量は 実は驚くほど多量である。

一日に 0.5リットルから1.5リットルの量が分泌されている。

2リットルペットボトルを思い浮かべれば

その量の多さに ギョとするのではないだろうか。

なかには 唾液がやたら多く ツバ気の多い と白眼視されてきた人もいるだろうが

唾液の効用の広域を認識すれば

ツバ気の多いが うらやましくなるに違いない。


唾液は 唾液腺から分泌され、唾液腺は 大きく2つに分けられ

大唾液腺と小唾液腺である。

大唾液腺は 耳下腺、舌下腺、顎下腺 の3つ。

小唾液腺は 多数に点在する。



唾液は 口の中に分泌された直後は無菌であるが 分泌後は

口腔内の微生物と戦い 汚染される。

唾液そのものに含有される微生物と戦う成分と 唾液と一緒に胃の中に送り込まれ

胃の強烈な酸が 唾液と混合された有害物質と戦う。

こうして 口から侵入する有害物質と戦闘する 最前線にあるのが

唾液である。


こうした唾液の成分は 実は刻々と変化し一定ではない。

生理リズム、運動の程度、体調、ストレス、感情の起伏、妊娠、薬物摂取 等々

の条件で刻々と変動している。

そのため 唾液の状態で 体調の好悪をはかる基準にもなる。




だれもが 人生のいろいろな局面で

興奮でごくりと生唾の動きを感じる瞬間や、

異常な高揚感と期待感でツバがあふれ出る状況、

極度の緊張で口がカラカラになり言葉が出なかった経験があるに違いない。




唾液は このように心の振幅を見事に反映する。

  ドライマウス


唾液を失って

ヒトは初めてその大切さを認識するのであるが

唾液の分泌異常で 口が渇くことを ドライマウスという。

ドライマウスは 一時的な唾液乾燥から 恒常的な唾液乾燥までを指すが

ドライマウスは ドライアイと同様 放置すれば様々な疾病を生み

さらには かくれた疾病のサインでもあることがある。


唾液の量が減ったりして苦痛を味わったり

ひとたび

唾液の役割を認識して 唾液の奥深い世界を垣間見れば

ちょっとツバをはいたりすることが 簡単にはできなくなるに違いない。

それほど 唾液はヒトの身体を防御していてくれるのである。


では 唾液の奥深いワールドを 舌なめずり でもしながら のぞいてみよう。


食べやすくする、摂食時の嚥下作用


食事の時に出てくる唾液は 刺激時唾液と言われ

食欲と咀嚼で 自然に分泌される。

唾液分泌で 食べやすくなり 嚥下 えんげ される。

この時 唾液は咀嚼されればされるほど湧出する。

老化などで 嚥下作用が低下するが それは噛んでも噛んでも唾液が出ないからで

やむを得ず 飲み物を飲んで唾液の代替が必要になる。


 しゃべりやすくする、発声潤滑


発声は 声帯筋の作用で行われるが

唾液の湿潤効果により 声帯筋の粘膜が潤滑され 円滑に発声される。

唾液の分泌が停止し 口が乾燥すると 途端に発声がとどこおる。

また しゃべればしゃべるほど 筋肉群が唾液腺を刺激し

唾液の分泌も潤沢となる。

口から泡を飛ばしてしゃべればしゃべるほど泡は湧き上がってくる。


唾液の洗浄作用、バリア最前線

泉のように湧き出る あふれ出る唾液は 洗浄作用で

口の中の食べ残しや食べかす、口腔内病原菌微生物、汚物 などなど

洗い流す バリアの最前線となっている。

病原菌などは 唾液の一緒になり 胃の中に流れ込むが

胃では 強烈な胃酸が海の様になっていて ここで病原菌が死滅する。


 殺菌/抗菌作用



唾液の殺菌/抗菌作用は 以下のような成分で行われる:

リゾチーム   ラクトフェリン  免疫グロブリンA  ラクトぺルオキシターゼ


リゾチームは、
細菌を保護している
細胞壁を攻撃する
小さな酵素である。
細菌は、
短いペプチド鎖と絡み合った
炭水化物の鎖で
強固な表皮を作り、
壊れやすい細胞膜が
細胞の高い浸透圧に
抵抗するための補強を行っている。
リゾチームは
この炭水化物の鎖を分解し、
細胞壁の構造的強度を損なわせる。
そして細菌は
自分自身の内圧によって破裂する。


ラクトフェリンは
口腔内の
病原微生物や歯周病菌対して
抗菌活性を示す。
また
TNF−aの産生を抑制することで、
歯周組織の炎症や破壊を防ぐ。 

粘膜分泌液中に存在して 
粘膜免疫にあずかる
特殊なタイプの免疫グロブリンである


ウイルスの中和、
細菌の凝集
粘膜上皮細胞への細菌の付着の防止

食物アレルゲンとの結合
等の様々な活性がある。
とくに 上気道感染(風邪)には
第一線の生体防御機構として有効。

ほとんどの哺乳類の
母乳や 涙や唾液 
その他の体液に含まれる酵素。
ラクトぺルオキシターゼは
触媒として作用して
細菌の代謝をつかさどる酵素を
不活性化させる。
この作用によって
口腔内の細菌増殖が
抑制される。


これらの成分は 唾液以外の体液にも含まれてもいて、

母乳、涙、鼻汁、もチェックしてほしい。


pH調整作用


口の中の細菌によって 糖から酸が形成されて

pHが酸性に傾くと エナメル質が溶解して 初期の虫歯となる。

この時 唾液はpHを中和して 中性にする作用がある。


再石灰作用 その注目される驚異の作用




再石灰化とは、

むし歯菌などがつくった酸で溶かされた歯のエナメル質表面の無機成分(ハイドロキシアパタイト)が、

唾液などの働きで再び歯の表面に形成される現象 を指す。

つまり 再石灰化とは 口腔で備わった 生体防御メカニズムのひとつであり

むし歯を拡大させない 自然治癒能力である。

これに 唾液の力が大きくかかわっているのである。

実は このメカニズムをさらに積極的に応用し

再石灰化メカニズムを歯科医療の中心にすえるという未来型の負担の少ない医療法として

脚光を浴び始めている。

すなわち その中心にあるのが 唾液の作用。


ここで むし歯のできる過程から 再石灰化を説明しよう。

食事をとると、歯の表面についたプラーク(歯垢)の中のむし歯菌が、

砂糖などを利用して酸をつくる。


プラーク(歯垢)の中の酸性度(pH)が概ねpH5.4以下(歯により異なります)になると、

歯の表面のエナメル質の無機成分(ハイドロキシアパタイト)が溶け(脱灰といい、むし歯の始まり)始める。

しかし、唾液の働きにより、40分から60分ほどで、歯の表面の酸性度(pH)がもとの状態(中性)に戻る。

そうすると、一度溶かされた無機成分が歯の表面にもどってくる。

これが再石灰化。

歯の表面は、常に脱灰と再石灰化を繰り返しながら、成熟(酸に溶けにくくなる)していく。

ところが、だらだらと時間をかけて菓子等を食べていると、

脱灰されている時間が長くなり、再石灰化の時間が短くなるため、

歯の表面に穴があいてしまい、もう元には戻らなくなる。

あいてしまった穴をどんなに上手につめてもらっても、再石灰化によって治った状態にはかないませんし、

そのままでは、他の歯も次々とむし歯になっていく。

さて、この脱灰と再石灰化のバランスには、

飲食の頻度や種類、ブラッシング、フッ素の利用の仕方のほか、

口のなかの細菌の種類や量、唾液の性質や量など様々な要因がかかわっているので、

再石灰化能力を高める工夫をすればむし歯は防げる。


味覚の感覚を整える


味覚を感じるセンサーは 味蕾 みらい と呼ばれ

花のつぼみのような形状をしており

舌の上に 約5000個、舌の以外の のどなどに 2500個 点在する。


口腔内に食物がはいると

その瞬間に舌の先端に位置する味蕾が その食物の安全性を確認する。

結果 安全と判断されると 咀嚼が始まり 攪拌され

唾液と混在しながら 舌の奥の味蕾へと向かい 味わいが始まる。

この時 唾液と混在することにより より食物が混じり合い

味蕾 みらい が感受しやすくする。

また 舌の粘膜が唾液で潤い 味蕾 みらい を傷つけることなく保護する役目も唾液は持っている。

舌の奥の奥歯の横にある味蕾 みらい が 

奥歯でかみしめた時 味をより深く感じるようになっている。



美味しいものを食べた時の表現として

舌鼓 したづつみ を打つ というが これは、

舌と軟口蓋をギュっと押し付けて 味蕾 みらい を圧迫して より味覚を深くしようとする行為を指し

舌で味蕾 みらい を太鼓を打ちたたくようにすることをいう。

そして のどの味蕾 みらい は 食物がのど越しに通過するときに味覚を感じる。


口臭を おさえる


すでに 唾液の効用と作用を見てきたように

こうした唾液が豊富に分泌されている場合 口臭も消えやすく

唾液分泌が減ってくるに従い 唾液のもっている殺菌 抗菌 浄化作用も低下することになり

口臭が出やすくなる。


唾液の量にあらわれる 全身性疾病


唾液の分泌が減少し 異常に口とノドが渇く状態が続き

同時に 目の乾燥も異常になり ドライアイになやまされ、

また

全身性の根強い疲労が なかなか改善しない場合 シェン―グレン症候群を疑う。


 シェーグレン症候群


シェーグレン症候群とは

とくに涙腺と唾液腺に対して 自己免疫システムが作動して

涙腺と唾液腺の組織が破壊され

これにより 涙液と唾液の産出が低下し 目と口が乾燥状態が続く。


こうした自己免疫疾患は 本来外敵を攻撃する自己免疫が

敵ではない健全な自己の組織を攻撃して破壊してしまう。


涙液と唾液の役割は 単に目と口を潤している役割だけでなく

多くの生理的な作用を有しているために

目と口の乾燥の常態化は ひいては 全身性の他の疾患や病態を到来させる。

したがって 目と口の乾き以外にも

強い疲労感、倦怠感、関節痛、頭痛、しびれ、消化器不調、耳鳴り、

などなどで 苦しむ。


シェーグレン症候群は 膠原病 こうげんびょう の中に含まれる。

膠原病 こうげんびょう とは

体の細胞と細胞とを結合させている組織を結合組織といい、

この結合組織には膠原線維と呼ばれる成分が含まれている。

この膠原線維にフィブリノイド変性や粘液性膨化が生じるという共通の特徴を有する疾患群の総称を

膠原病 こうげんびょう と呼ぶ。

したがって膠原病とは単一の疾患をさすのではなく、

病変の成立が共通した組織に生ずる複数の疾患をいう。

古典的膠原病として知られている代表的な疾患として、

関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎/皮膚筋炎、などがある。

シェーグレン症候群は、古典的膠原病には属さないが、

膠原病類似疾患に属し、約1/3の患者で膠原病を合併しているのが特徴的である。


西洋医学では 目下のところ シェーグレン症候群に対して

有効な根本治療の道筋を明瞭にしていない。


最近の 新しい シェーグレン症候群の研究成果のひとつに、

次のようなことがあげられる。


シェーグレン症候群では、

進行に伴い唾液分泌量の全体量そのものが減少するのに加えて

唾液中に含まれ口腔と消化管の粘膜保護や組織修復に促進的な役割を果たすとされる

epidermal growth factor(EGF)量も同時に低下し

これにより 唾液量のみならず 唾液の質の低下も起こる。


 
EGFは分子量6.045kDaのサイトカインで、上皮細胞の細胞分裂と増殖を促進する。

人体では唾液腺(特に耳下腺)と十二指腸のブルンネル腺で主に産生され、

口腔や消化管の粘膜保護作用や組織修復に促進的な役割を果たしている。

また、皮膚におけるEGFが皮膚創傷の治癒を促進するとされている。

唾液分泌量に加え唾液中EGF分泌能も低下し、

この「唾液の質」の低下が口腔内病変の形成に関与する


 つまり シェーグレン症候群は 単に唾液の量の減少のみならず

質の劣化もおこり これが口の中の病変を進めるという趣旨である。

当然 このシェーグレン症候群における唾液の質の変化の見解も

シェーグレン症候群における解決への道のひとつの貢献になるが

これの根本治癒の道筋が明確になったのではない。

整体は シェーグレン症候群と どうむきあうのか?


では 整体は シェ―グレン症候群にどうたちむかうのか?


これは シェ―グレン症候群に限らず 

自己免疫疾患のすべてに共通する課題である、

なぜ 本来 自己を守るべき免疫が 健全な細胞を攻撃してしまうのか?

という命題に立ち返る。


一つの仮説がある。

通常 自己免疫疾患は

免疫システムのかく乱 つまり 正常に免疫システムが作動していないという前提に立っている。

免疫システムが間違った誤作動をしているという説明になっているが

そもそも そこに疑問がある。

つまり 自己免疫疾患による病態が 実は

免疫が正常に作動しているという仮説だ。


たとえば シェ―グレン症候群は涙腺と唾液腺を攻撃するが

これは 涙と唾液の分泌を停止して

目と口の機能を完全停止して 休息させるという目的があるからではないか!

という意味である。

だとすれば 免疫システムは こうした目的にそって

涙と唾液の分泌を停止させる。

これは 決してかく乱ではなく 正常な免疫の発揮なのである。

という仮説である。


整体は 実は この仮説にのっとって対策を組み立てる。

つまり その患者の視覚と食物摂取と言語発声の生態を見直すところから始める。

目の酷使、口の酷使があるのか?

目と口に対して 思いもかけない過重なストレスがかかってきたのではないか?

そこから 整体を始めるのである。

言葉を変えていえば 免疫作用を信じて 免疫の声を素直に聞いて

もう一度 身体の動きを再検討するのである。


整体は そこから始まる。

 
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