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2018年10月の整体 
腸という花園での闘争と躍動


腸には きれいな花園があるという。


ここでいう腸は 大腸で つまり大腸に花園がある。






その昔 大腸は 老廃物を処理して大便を形成するという

どちらかといえば日陰者の印象が強く

大腸の重要度は それほど認識されなかったようであるが

遺伝子分子生物学の研究がすすみ解析能力が高まるにつれ

大腸の圧倒的な重要度の認識がひろまり

大腸への見方は恐ろしく変貌してきたのである。


もちろん 整体の世界や 東洋医学の認識では

古来より 大腸の重要度は きわめて高く

腸は臓器の中でも 別格の位置を占めてきた。


こうして 今では 腸に花園ありと

大腸は 美しく優雅な臓器に すっかり定着した。


いうまでもなく 腸に限らず すべての臓器は その役割を全うするため

やすむことなく 闘争と躍動を続け ヒトの生命を維持している。.


今月は 大腸の中で進行する闘争と躍動を述べて

身体メカニズムの原理を深めてみよう。


そもそも 腸は 小腸と大腸と2つあるが

大腸に住みついてコロニィをつくっている細菌の集団を 「腸内細菌」 という。

この 「腸内細菌」 は 恐るべき重大な役割を演じて

大腸に住みついて ヒトと共生しながら

多様多種の品種が まるでお花畑のように腸の壁に隙間なくびっしりと張り付いて

百花繚乱に咲き誇っているところから

腸内フローラ と呼ばれている。

これが花園 であり、まさに 大腸に花園あり。


その大腸内の イメージ図が以下である。


腸内細菌、腸内真菌、病原性細菌、 が 大腸組織の外側でウヨウヨと浮遊している。

腸管上皮細胞とあるのが 大腸の表皮である。






医学的には この腸内フローラ腸内細菌叢 ちょうないさいきんそう と言う。


腸内フローラ という優雅な名称で 花園 の優美なイメージではあるが

実際 この大腸で存在する 腸内細菌は 

たえまない闘争に明け暮れ 人の身体の維持のため躍動し

もはや 彼らの活躍なしには ヒトは生存できないのである。


そもそも 腸を 整体は 古来より 最大に重視してきたのであり

それは 腸が 単に

 小腸で栄養を吸収し 大腸で排便を形成するというのみならず

生命力を根源的に左右する 不思議なパワーが

腸に宿っているという見識があり このため腸を標的にした施術と治療は

独自な展開を見せてきた。


 その不思議なパワーの一端は、


小腸では 栄養の吸収以外に 

外部から侵入した病原菌やウイルスなどの異物を撃退する役割があり、

それを 小腸の免疫機能の司令塔と呼ぶ。


大腸では 排便の形成以外に

この腸内細菌叢 ちょうないさいきんそう が 

ヒトの有していない特殊な酵素によって 発酵分解の作用を行い 栄養素を形成する。

さらには 有害物質を解毒して清浄作用をおこなう。

つまり 大腸は 細菌にこうした活躍ができる場を与えているのである。

大腸における これらの細菌の数量的圧倒は

たとえば ヒトの大便の半分以上が これらの細菌およびその死骸から形成されている

という事実からしても 想像できるのである。


これらの 小腸と大腸の不思議なパワーの一端のが

最近の分子生物学解析の進行により あきらかになってきたのである。


さらに大腸の 腸内細菌叢 ちょうないさいきんそう の機能の重要性から

腸内細菌叢 ちょうないさいきんそう 全体を ひとつの臓器としてとらえる説も浮上している。

つまり 腸内細菌叢 ちょうないさいきんそう 

は単なるチョイ役ではなく 臓器に匹敵する確固とした主役の格があるということである。

それほど 腸内細菌叢 ちょうないさいきんそう が全身性に及ぼす影響が深いという事である。


こうして
 
腸内フローラ と呼ばれている花園

ますます 身体の神秘を解明する重大なファクターとなってきているのである。


では さらに詳しく 大腸の腸内フローラの活動を見てみよう。

先ほど述べた 

ヒトの有していない特殊な酵素によって 発酵分解の作用を行い 栄養素を形成する、

とはどういうことかというと

実は ヒトの大腸の腸管上皮細胞には 

食物繊維を消化する酵素は わずかしか備わっていなくて

その一方 腸内細菌には これらの酵素が豊富に備わっており

腸内細菌は 大腸に到来した食物繊維を発酵させ

単糖類と短鎖脂肪酸に分解する。

このうち とりわけ短鎖脂肪酸は エネルギィ源として 様々な活動をする。


ここで 明解にする必要があるのは、

腸内フローラ と呼ばれている花園には

すべての細菌が有用であるわけではない。

腸内フローラ が 大きく分別すれば

3種類の細菌群で構成され それぞれ善悪取り混ぜながらの性向を有して

花園 を形成している。

いわゆる 善玉菌、悪玉菌、日和見菌 という3種の細菌群である。

その詳細な説明は後述するが、

ここで重要なのが

この善悪取り混ぜ さらにはどっちつかずのふらふらする存在の細菌群が

多彩であることに意味があるのである。


身内に適度の敵や毒が存在することが 組織を堅固にする、

という組織哲理が ここにある。


すなわち

大腸での多彩な細菌群の存在が 結果的に これら細菌群と共生するために

外敵となる細菌群に対してはバリア形成をなし

それが どんどん発達して大腸の免疫機構となってきたのである。


つまり

細菌群のなかに 有用な細菌 有用でない細菌が混在することで

その混在自体が 免疫力をたかめるという逆説現象がおきて

身体の全体性の維持につながってきたのである。

身内に異物を醸成することで 異物に対する抵抗性を高めるという

あざやかな逆説!

これが 大腸の不思議なパワーの源泉である。


腸内フローラ
 を構成する細菌の種類は 数多く 

当然 ヒトそれぞれの条件で 腸に棲む細菌は違ってくる。


これらの腸内細菌を 大きく3つに分ける分類がよく行われる。

いわゆる

善玉菌、悪玉菌、日和見菌 という3種の細菌群である。


その呼称の 勧善懲悪的な響きは 少々あからますぎて苦笑してしまうが

その概念は わかりやすい。

善玉菌は、

糖分や食物繊維を食べて発酵させ、乳酸や酢酸などを作り出し、腸内を弱酸性に保つ。

悪玉菌は、

タンパク質や脂肪を腐敗させて「アンモニア」や「インドール」、「硫化水素」などの有害物質をつくる。

ただし 悪玉菌は その存在がすべて身体にとって害となるだけでなく

その働きは、肉類などのタンパク質を分解して、便として処理排泄するという

役割も担っており それがゼロとなると また問題化するのであり

あくまでも 善玉菌、悪玉菌、の適宜な比率の問題である。

その理想の黄金比率は

善玉菌20%、悪玉菌10%、そして残りの70%が日和見菌

との報告がある。


このため この理想的な比率が恒常的に保つように

大腸のなかでは たえず細菌の闘争がおこなわれている。


それが 大腸における細菌群の不断の闘争である。

その闘争の場所は

大腸の腸管上皮細胞の外側で行われているのであり

大腸の細胞組織の中で行われているのではない。


この一見 奇妙な位置関係が 大腸の花園で繰り返されている

闘争と躍動の独特な性格なのである。


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