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2019年11月の整体 
舌骨と肩甲骨を結ぶ 肩甲舌骨筋 けんこうぜっこつきん
 

そもそも 舌骨ぜっこつ というのが理解しにくい骨であり

いわゆる舌の根元の方が附着している骨格であるが

舌骨ぜっこつ の特徴は 他の骨格と関節で連結してるわけでなく

舌骨ぜっこつ は単独で存在し 中空に浮かんでいる状態であり 

これに付着する様々な筋肉群が 舌骨ぜっこつ を支えている。

下図は アゴの下方からの角度でとらえた舌骨ぜっこつ である。 ピンク色。





参考に 当ホームページ内にある

『 首を解剖する 』のなかで 舌骨ぜっこつ を紹介しているので見てほしい。


さて 今月のテーマは

この 舌骨ぜっこつ と肩甲骨を結ぶ筋肉である 肩甲舌骨筋けんこうぜっこつきん である。

下図が 舌骨ぜっこつ と 肩甲舌骨筋けんこうぜっこつきん を示す。

 



舌骨ぜっこつ は完全な浮遊骨であるが

肩甲骨も 鎖骨と上腕骨で関節を形成しているのみである。

一見すると肋骨と関節をなしているイメージをうけるが 実は肋骨とは完全に分離している。

このため 肩甲骨は いってみれば 半浮遊骨の体をなしている。

つまり 浮遊骨と半浮遊骨の連結が 肩甲舌骨筋けんこうぜっこつきん である。

その頼りなげな印象で みょうに気になる筋肉である。

実際 その筋肉の体積は 他の頚部の筋肉群と比較すると かなり細く か弱い印象はさらに深くなる。

また

舌骨と肩甲骨を連結する筋肉があること自体 幾分 奇異に感じる。

解剖学の教科書には 肩甲舌骨筋けんこうぜっこつきん の作用を

舌骨を下方に引く とあるが 舌骨を下方に引くには やや力不足なのではないかという印象である。

さらに びっくりするのは

この 肩甲舌骨筋けんこうぜっこつきん は 

左右の肩甲骨上縁から起こり 左右で上昇しながら 舌骨で一本にまとまり舌骨下縁で停止する。

冠状面でこれをみれば きれいな 八の字をえがいておさまっているのだが

このそれぞれの一本が 途中に腱を構成し その中間腱によって 上方と下方が分かれた筋腹となっている。

これによって 肩甲舌骨筋けんこうぜっこつきん の左右それぞれは

微妙な 縦方向のねじれを呈していることになる。


肩甲舌骨筋けんこうぜっこつきん の こうした作用以外に

隠れた作用を指摘してきたのは 音楽界や発声学の世界の人々の見解である。
 
それは 肩甲舌骨筋けんこうぜっこつきん の作用のひとつが 喉頭の空間を維持することで

声の共鳴空間を形成し 声の共鳴を保持し声の豊富を保証する役割があるというものである。

つまり 肩甲舌骨筋けんこうぜっこつきん が柔軟であると 舌骨の移動が自在になり

喉頭が開放されるという事である。


私の予想では

肩甲舌骨筋けんこうぜっこつきん の隠されたおどろくべき作用が

まだまだ あるのではないかという むずむずした予感があるのである。
 

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