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骨盤の風格



骨盤は

人体の中央に鎮座し ひとたび始動されるや

凝縮された運動力量を爆発させる中核骨格となり

その圧倒的な風格は 人体構造の王者と呼んでもよい。





また

骨盤は ヒトの生殖と出産の機能を手厚く防御する骨格で

生殖器官のほとんどを骨盤がガードしている。

生誕に至るドラマの一貫した現場となるのが骨盤の中であり

こした意味で骨盤は 生誕の聖地であり

とりわけ 実際に授精から出産にいたる女性の身体にあって

骨盤は女王の風格を放っている。







全身における骨格の存在からいっても

上半身と下半身を強固に連結し

一本の図太い脊柱を受け止め それを左右の下肢が支える構図の

変換結節の盤石な中心をなす骨盤は

力学的な構造からみても 圧倒的な風格である。







では 骨盤の骨格形状を見てみよう。

骨盤は 身体の他の骨格を比べると

きわめて複雑な形状をし 独特な微妙な不規則曲線で造形されている。

このため

骨盤の形状そのもの 及び 骨盤に収納される 臓器、神経、血管、などの走行

筋肉群、靭帯、筋膜の広がりの理解には

 多角度からの透視による立体図や透視図が有用である。




なかでも

骨盤のもっとも興味深い特徴は

中心に大きな孔 (骨盤口) を配置し、

いくたの構造物が この骨盤口を往来するにぎやかな大きな口を開けた空間。


分娩に際し 胎児は ここを通過し分娩する。

ヒトが二足歩行するにあたり この口の面積が小さくなり

ヒトの分娩時の苦痛がもたらされるようになった原因のひとつでもある。


この口を 前面から骨盤を見た場合 骨盤上口 inlet と称し

下方 つまり会陰 えいん 方向から見た場合 骨盤下口 outolet と称する。

つまり 骨盤口はひとつであるが

それを前方から すなわち入口からとらえた場合は 骨盤上口 inlet、

それを下方から すなわち出口からとらえた場合は 骨盤下口 outlet,

となる。

2つ下図で 赤く丸をつけた所が 骨盤上口 inlet 。









骨盤下口 outlet を 矢印の様な角度から見ると。




骨盤下口 outlet は以下の図で緑のラインとなる。





骨盤の構成をみると

3つの骨の構成からなる。

                      寛骨 ( 腸骨、恥骨、座骨 からなる )

仙骨

尾骨

寛骨は、

 左右の腸骨、恥骨、座骨にの3つの要素からなり

生まれたての胎児は これら3つの腸骨、恥骨、座骨は分割しているが

成人になるころ 癒着結合で一つの骨になり寛骨となる。





この骨盤に堅固にガードされた内臓は

生殖器と腸と泌尿器が主であり

つまり 集約すれば 生命誕生と消化器と排泄の機能ということになり

種の継承のために横溢した性エネルギィをたくわえ、

肝臓と胃と小腸と大腸をはじめとする内臓の重みをがっしりと下ささえしつつ

人体の代謝システムの最終局面である排泄という大仕事が

骨盤内で進行している。


骨盤内に収納される生殖器は、

女性では

卵管、卵巣、子宮、膣、外陰 である。

男性では

精嚢、精管、前立腺、射精管 である。


骨盤内に収納される泌尿器は、

膀胱と尿道である。



肝臓と胃と大腸と小腸が骨盤がしっかりと受け止めていることがわかる図が以下2つ。

肝臓と胃と大腸と骨盤の位置関係



これに さらに小腸を描き加えると以下の図となる。






では 骨盤の骨格特徴を ヒトの進化の過程から考えてみよう。

ヒトは二足歩行が可能になったことにより

骨盤より上の構造物の負荷重量を骨盤と下肢で受けねばならなくなり

これによって 骨盤が横に広くなり

股関節の位置が外側に移動し 寛骨が幅広くなった。

また 下肢の大腿骨は 内側への傾斜が強くなり

股関節と膝の角度が大きくなった。

このため 歩行の速度は落ち ヨタヨタ歩きとなった。




下図がヒトと他の動物との骨盤形状比較。

ひとが横幅が広くなったことがわかる。

それによって骨盤口は小さくなり 出産時の産道が狭くなり

ヒトの出産が難産をともなうこととなった。



こうして 二足歩行は相関的に

大脳の発達を独自に開花させることを可能とし

なおかつ上肢の様々な動きのレベルが広がることで

驚異的な手仕事が実現することになった。

それらの能力の獲得が

まるで

出産の難儀と引き換えるように

ヒトにもたらされたのである。



ヒトの身体の全体の動きを仔細に検討すると

全身の機能的運動メカニズムの視点から

骨盤は

上半身と下半身との異質なエネルギィ・モーメントが

爆発的に結合される結節点として

文字どうりの中心の中の中心となっており

その役割の底知れない迫力が

骨盤の風格の源泉のひとつとなっている。


 
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