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実際のカルテから参考になる症例を選びました。
名前をまったくデフォルメしてあります
人物イラストもイメージです。
生まれ年、施術内容は事実です。

 2024年3月
 すべての美容師に伝えたい
 バカラ

1997年生れ
 
美容師の代表的な職業病態は、
背中痛、肩痛、首痛、腱鞘炎、ふくらはぎ疲労。
長時間の同じ姿勢で髪を造形する身体動作は
同類の病態を生む。

美容師バカラもこれにもれず
背中痛、肩こり、首こり、時に頭痛、で来院。
背中は鉄板が差し込まれた様相で微動だにしない。
バカラが
それほど痛みがひどくないのは、
バカラの体がもともと
しっかりした体躯で骨格も筋肉も
ひどく堅固で丈夫なため
痛みがそれほど感じないのである。
それで
重苦しく鈍い動きしかできなく軽快に欠く
のが主訴となっている。

ここで
美容師をはじめとする
手仕事に従事する人たちの手指への
パワーの出力配分の理想的な数字があって
それは以下の様になっている。




手指で物事を処理するあらゆる手仕事は
その力の発生起点は
すべからく背中なのである。

これは運動選手はその哲理を
身をもって理解している事だが背中からパワーを
発生させてそれを指先に伝えていくというイメージが
運動のパーフォマンスを飛躍的に高める。
よって、この原理は
運動選手が最も理解できる訳である。
彼らはたえず最小のエネルギィで
最大のパワー・パーフォーマンスが得られる様
たえず腐心している。

そして
背中で発生したパワーは指先までに
それぞれの部位で徐々にパワー比を減速しながら
指先ではほとんどパワーを入れず
運動を終了させる、これを繰り返す。

つまり
指先には力を入れずにほとんど軽くタッチの感覚。
指先は接触感覚がその役割である。

これは
運動にかぎらずあらゆる手仕事、
あるいは日常生活、家事など
指先の力を使うあらゆる作業において
理想的な力の配分を示すデータである。

基本的には
指先にかかるすべてのパワーの源泉は
背中つまり脊柱(背骨)から出発する。
脊柱(背骨)からの出力は
背中で最大100とした場合
最末端の指先では10の力がかかるのみ
というパワーバランスが最小の出力で
最大のパワー・パーフォーマンスが
発揮できる。
つまり疲労を最小にして最大の仕事が
できるという図式なのである。

くりかえすが
この原理はあらゆる手を使う作業につらぬく
最も効率の良い
ケガと痛みを回避する原理で
紙幣をかぞえる時も、料理を作る時も
すべてに共通する原理となる。

すべての美容師に伝えたいのは
この原理である。


 手仕事のパワーの出力配分
  部位  パワー比
 1  背中 100
 2  70
 3 上腕  50
 4 前腕  30
 5 手の平  20
 6  5本の指  10



 2024年3月
 「 先生、私、疲れちゃいました.. 」
   ウエレンドルフ

1985年生れ

「 先生、私、疲れちゃいました.. 」
と、整体室にはいるなりぐったりとこれだけ言うと
ウエレンドルフは
倒れこむように整体ベッドに横たわる。

看護師のウエレンドルフは、
疲れが限界にくるとやってくる。
施術が始まると一切言葉はない。
ひたすら体中の疲れを一切忘れる様に
双眸はとじ続け快感のルツボにひたり疲労をとる。

全身をすみずみまで射程にし
ウエレンドルフの蓄積した疲労を追い出す。
重症の時は2時間のオイルマッサージで
徹底した施術を行う時もあるが
今回は最悪の時よりはいくぶん軽い。
毎年 春は、
特に疲れが抜けない季節のようだ。


それでも
目の疲れと足首の硬さは相当なもので
疲労の深刻さがうかがえる状況である。
こうした泥のように疲れ果てたケースでは
治療の手順は、まず 
全身の細部にいたるまで溶解するように柔軟にし
次に、
一番気になる疲労の最大蓄積した部位を
快適にしてから あとはドミノ式に次々と他の部位の
疲れをとっていく手法となる。
ウエレンドルフの
この日の最大蓄積した疲労部位は、眼と側頭部。


疲労が異常に強く尋常でないようなケースでは
以下のような病名があるので
まずこれに該当するのかどうかの判断が必要である。

副腎疲労
筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群
甲状腺異常

今回の ウエレンドルフは、
これには該当しない。


たっぷりした施術のあと、
ウエレンドルフはもうろうとして帰っていったが
明日にはすっきりと回復するはずである。


 2024年3月
 石灰沈着激痛れず ( 石灰沈着性腱板炎 )
ブルガリ

1966年生れ


エステシャンとして20年来の経験をもつブルガリ、
数か月前より右肩が急に激痛がおこり
仕事もできず、夜も痛みで寝れない日が続く。
友人の紹介で来院したブルガリは
泣き出しそうな顔で痛みの症状を訴える。


 
先生、長年エステの仕事してきましたが こんなに
肩が痛くなったの初めてで、夜も寝れないんです!


さっそく
診断し肩を動かし制限される角度や痛みの出方を診る。
首、肩、背中、はほとんど硬直して岩石の様に呈する。
挙上はほとんど不能。
挙上しようとして激痛となる。
健全な右手で左肩を扶助して挙げようとするが
激痛で微動もしない。
夜間痛の様相は、
どの方向に寝ようとしても痛みが治まらず寝返りも不能。

 
ブルガリさん、これは石灰沈着性腱板炎といって
肩の関節のまわりに石灰ができて、それにより
強い炎症が起きていて強い痛みが
でてるものとおもわれます。
この石灰沈着は夜寝れないほど強い痛みが特徴です。

へぇー そうですか!
治りますか?


治りますが、
その程度によっては完治が長引くことがあります。
まずレントゲンだけでこの石灰沈着の確定がつきますから
私が紹介する整形外科を受診して撮影してください。
それでおよその程度が判明します。


どんな治療になりますか?

まず激痛をとることが第一の処置になりますから
病院での処置は 投薬か注射になると思います。
同時に整体によって、
肩以外の痛みのない部位から施術を行います。
ある程度痛みが取れて炎症がおさまったら
整体で痛みの中心点に向かって施術していきます。

仕事できるのは いつ頃から可能でしょうか?


今のところはっきり断定できないので、
まず石灰沈着性腱板炎の程度を
映像で確認してからにしましょう。

そうですか・・・
わかりました。



ブルガリは
痛みと仕事の見通しがつかないことで
がっくりうなだれている。
ブルガリのエステの仕事の内容を詳しく聞くと
かなりパワーと持続力が必要で
ひとりの客を2~3時間続けて行うのが普通とのこと。
体への負担はかなりのものらしい。
以前より慢性的な肩首背中のコリが続いていたという。

肩の石灰沈着性腱板炎は
体内の老廃物代謝の過程においてそれが沈着して
そこに激痛が出てくるという症状である。
いわゆる疲労が蓄積されて発症に至る。

翌日 ブルガリは
さっそく紹介した整形外科に行き受診した結果
やはり石灰沈着性腱板炎との診断結果で
ステロイド注射によって
その日の夜からすこやかな眠りが可能となり
次の日から整体院に毎日来院し
施術治療が続いている。
すでにほぼ90%ぐらい回復し仕事復帰は目前である。


 2024年3月
 キッチンに立つたびに強い背中痛
 ゲラン

1954年生れ
 
8年ぶりに来院したゲランは
背中痛が最近とみに強くなって困っていると訴える。
その痛みが出る時間帯が決まっていて
かならず夕飯の準備でキッチンに立つ時、
その後の食事中は背中痛が止み、
そして、食事の片づけ時にまた痛みが出る、
というパターンをくりかえすとのこと。

痛みのポイントは
両肩甲骨の内側と左肩甲骨下の部位。
睡眠時は痛み無く快眠。

診断を始めると
たしかに背中全体が硬直し、背筋が岩の様に縦走する。
とくに左側に硬さのカタマリがみられる。


胃は調子いいですか?食欲ありますか?

ええ胃は問題ありません。おいしく食べれます。

わかりました。



まず内臓が問題ないかをチェックする。
背中痛では 内臓が痛みの源泉であることも多く
内臓を調子を確認するのは必須である。
胃も、膵臓、十二指腸、肝臓、腸、も
いずれも異常なし。

 
いつ頃から背中痛ひどくなりましたか?

1月ごろからです。

キッチンでの調理のやり方で以前と違う事など変化したこととかなにかないですか? たとえば、
キッチンを新しくしたとか?

そういえば
年末に新しくキッチン変えましたよ!

原因はそれかもしれないですね!
キッチンの高さや体の動きで変化はないですか?


とくに高さはいっしょですが・・・
ただキッチンの中で体の動きは
微妙に変わったかも・・・




それから施術を同時進行しながら、
ゲランに
くわしく新しいキッチンの状況や身体の動かし方、
鍋、フライパン、重量物の調理の仕方、等々
また 動線のクセ等を聞き取る。
問題は
背中痛と新しいシステムキッチンの因果関係である。

よくあるんです、
キッチンを入れ替えてから身体に不調が出るのが。

一番多いのは キッチンの高さが変わることで
筋肉痛が発症することであるが
それ以外にもさまざまな要因、
キッチン内での動線や料理法などの微妙な変化が
体に変調を期もたらすことが多い。
なにしろ主婦は長時間キッチンにたっていますからね。

そういえばゲランは
8年前来院された時も 背中痛を訴えた。
この時の原因は猫と添い寝を繰り返し発症した。

もともと背中痛が出やすいのである。

ほぼ1時間で背中の柔軟が回復し、
その後 キッチンでの身体の動かし方の対応で
背中痛がでないようなアドバイスする。

 
先生!
そういえば 最近、 
きゃらぶきの佃煮を大量につくりました!
その頃からとくに痛みが強くなったような・・・


その時、どこのテーブルでつくりましたか?
けっこう高さの高い台の上でつくりました。
かなりの大鍋で大変重く・・・

その時
ワキがひろがって両手が鳥の羽根のように
横にひろがってませんでしたか?


そうですそうです!
こんなふうに!



と、ゲランは両手を大きく広げて
大鍋をもつしぐさをする。

 
そんな持ち方をすれば
背中も痛くなりますよ!


重量物をもつ時は、
かならず 脇をしめて
体の傍で持たないと背中痛をよぶことになる。


下図のようなもち方がくりかえされれば
鍋の中が重い場合、かならず
背中痛がでることになる。



指でOKマークをつくっているが
じつは
NGである。

 2024年2月
 雪に突然の膝痛 膝蓋前滑液包炎)
スノー・エミリー

1989年生れ

スノー・エミリーは
旅行ライターでとくに温泉地の記事をカバーする。

いつも
車をみずから運転し温泉地に分け入り
入浴をかさね、食事をチェックし、
周囲の自然環境を詳細に探訪する。
力量を投じた旅行取材がおわるたびに
飛ぶように整体にやってきて
取材旅行のエピソードを口にしながら
全身のケアをして疲れをとる
のがスノー・エミリーの習慣となっている。

この日
強い寒波が中部アルプスに襲来し
雪景色の露天風呂の取材の格好のタイミングで
奥深い山間部に4WDで向かったスノー・エミリーは
途中 ラジアルタイヤだけでは走行不可となり
チェーンをみずから着装する事態になってしまった。
チェーンの着装じたいは慣れたものの
雪風はおもいのほか激しく

すべて着装するに難儀し
なんとか雪に吹き付けられてチェーンも着装し
夕暮れ時に目的地の温泉宿にすべりこんだ。

取材活動は翌日とし さっそく源泉に飛び込むと
この世のものとは思われないほどの気持ちよさ!
温泉ライターのだいごみはここにあり!
と、
雪降りしきる闇空に向かい叫んだそうである。

異変が起きたのは
食事も終え
さて寝ようとしてベッドに滑り込んだ時である。
右ひざに異様な疼痛が起こり
悲鳴をあげそうになった。
膝はかつて一度も痛みが出たことがなく
何も前ぶれのない突然の激痛で強い動揺となる。
一過性のものだと思い
いろんな方向に膝を動かそうとして試みるが
痛くて全く動かないのである。
歩こうとしても体がベッドから起こすのに
膝に激痛が走りベッドから移動できない!
ものの一時間ほど悪戦苦闘しなんとかベッドからは
立ち上がれるようになったが
歩行がまともにできず
壁に伝いながらしか移動できない。
膝がジンジンする。
膝にかつて一度も痛みが出たことがないので
まったく原因が思い当たらず
痛みと不安で汗がかすかに出てきた。
膝が痛くトイレにも行けそうにない・・

痛みの中心は膝の皿そのもののようで
右ひざそのものが腫れあがりぷっくらふくれ
押すと飛びあがるように痛い。
触った感触はブヨブヨである。
いわゆる水が溜まっているのだろうか?

スノー・エミリーがLINEで
私に連絡してきたのはこの時である。

 
「 先生すいません!こんなおそく・・・
  大変な事になってしまって。助けて下さい 」

 「 どうしました! 」  
「 膝が急にものすごく痛くなって、
  歩けなくなちゃいました!」



スノー・エミリーに詳しく状況を聞いて
およその見当がついたので
今度は私が尋ねてみる。



「 
具体的に一番痛いポイントは膝のどこ? 
  指さしてそれをLINEで画像を送って! 」

「 わかりました! 」


すぐにLINEで画像が届く。
患部は
膝の皿そのもので腫れあがってブヨブヨしている。


その時のLINEの画像を
下図にイラストで描いてみた。




すべての情報から総合すると
膝蓋前滑液包炎(しつがいぜんかつえきほうえん)
見立てた私は すぐにスノー・エミリーに伝える。

 
「 
しつがいぜんかつえきほうえん・・?
  
なにそれ? 
  いやに長ったらしい病名ですね! 

「 要するに、
  膝の皿の表面にあるクッション液の炎症で
  腫れあがってるんですよ。 」

「 じゃあ 膝の関節の中じゃないのね、
  悪い場所は・・・
  どのくらいで治りそうですか? 」
「 この画像の腫れだと1週間ぐらいかかるかも
  しれないですよ・・ 」
「 エッ!! そんなに! 困ったな・・
  速攻で治すことできませんか? 」
「 ないこともないですけどね・・」


スノー・エミリーが
膝蓋前滑液包炎
(しつがいぜんかつえきほうえん)になったのは
おそらく
雪の中奥深い山間部でチェーンを着装する時に
ひざまずいて作業する時に
膝の皿を圧迫する時間が長く
さらに寒さが強く
このダブルハンチで一気に 膝蓋前滑液包に
強い急性の炎症が起きてしまったと思われる。

 


もともと
それ以前から膝の皿に負担がかかっていて
それが雪中の膝をついた作業で
ついに爆発したのかもしれない。

 
「 たのみます! 教えてください。
  どうやって治すのですか? 」
「 今 奥飛騨の温泉にいるんですよね? 」
「 じゃあ 温泉湯治で治してください。」
「 つまり温泉に入って治すってことですか? 」
「 そのとおり、一日に何度も何度も源泉に
  つかるのを繰り返していれば 2~3日で
  よくなりますよ。」 
「 ほんとうですか! 
  じゃあ休暇のつもりで やってみます!」

「 できるだけ
  ただ源泉につかっているだけでなく
  下肢全体をマッサージしながら
  温泉につかるとはやくなおりますよ 」

「 わかりました 」


こうして
スノー・エミリーの膝蓋前滑液包炎は
集中的な温泉湯治のかいあってか
2日目には ある程度の痛みと腫れもおさまり
奥飛騨の温泉地の取材ができるようになった。




 2024年1月
施術中に涙が止まらない
ヘミング

1940年生れ

ヘミングは
太平洋戦争終戦後の幼少期から
働きに働き続けて ついに
名古屋の港の近くにみずからの工場を設立
ひと財産を形成し
日本の戦後の高度成長経済で一文無しから成功した
モーレツ型の刻苦勉励の象徴的な実業家である。
そうした苦渋の経歴が
にじみ出るようなドスの利いた低音で
トツトツとしゃべる様子は
ひどく滋味があふれる。

休みない過酷な労働で人生の大半を過ごしたことで
今では
体の随所にその後遺と古傷が残り
歩行の不如意と疲労しやすい体質に
悩まされる日々を送っている。

そんなヘミングを見かねて
ヘミングの娘たちがそろって
 「 おとうさん、整体へ行きますよ! 」
と、整体に引っぱってくるのである。

ヘミングの体には
脊髄、腰椎、足首、動脈瘤、などに積年の損傷があり
痛みとしびれに悩まされる。
ただし
散歩は休み休みだが数時間はでき 胃腸も元気で
心臓は悪いが 肺は丈夫で話が続けられ已まない
気迫と気力はいまだ横溢している。

さっそく ヘミングの体の全体を触診すると
長年の脊椎損傷と腰椎圧迫で
背部から足首にいたる広域が
筋肉群の硬直で自在がきかない状況。
さらに
老齢によりその柔軟がただちには見込まれない模様。
それでも
各関節の異常は際立って認められず
筋肉の硬直状況がある程度改善されれば
歩行の改善と疲労感のそれなりの軽減は
充分にはかれると判断。

まず
ふくらはぎと肩甲骨をねらい
これらの弛緩をはかった。

窓外の枯れ木の庭を見ながらの施術中は、
たえまないヘミングの昔話に花が咲き乱れが続く。
途中
自分の娘たちの幼いころのトピックスに話が及ぶと
突然
ヘミングの目に涙があふれとまらなくなる・・・
『 先生、                   
娘たちの小さい頃のことを思い出すと
  なみだがでてくるもんで・・・・・  』
と、なつかしそうに又うれしげにヘミングの涙は続く・・・

こうして
2時間の施術の終わるころには ヘミングの体は
よみがえったように柔軟を取り戻し
素早い動きで施術ベッドから起き上がるのであった。

ヘミングにおとずれた蘇生が 

整体の施術のおかげか、ヘミングの涙のたまものかは
判別がつかない。


 2023年11月
 温泉宿女将鵞足炎(がそくえん)
千代菊


1974年 生れ

知多半島の内海で
温泉宿の女将の千代菊さんは
広大な敷地に建つ本格的な純和風の館内を日々
歩き回り客の接待、スタッフの管理、宿内の保持と
目の回るような忙しさで
一日3万歩を歩くこともあるという。

また、タタミでの立ったり座ったりの起居を繰り返し
膝の酷使で悲鳴をあげたくなる日が
月に一度はやってくる。

こうして 整体に通う千代菊さんであるが
その疾病
しっぺい名は、
鵞足炎
(がそくえん)という。

鵞足炎(がそくえん)とは 奇妙な名称であるが
鳥の類のガチョウの足の形に酷似した筋肉があり
それを鵞足がそくと称する。
膝の内側の下方のすねの部位である。
その部位に炎症ができるので
鵞足炎(がそくえん)

鵞足がそくの中の滑液包というゼリー状の部分が
炎症を起こして痛みが出る。
滑液包の炎症なので
静止していても強い疼痛が出える時があり
寝ていても寝れないほど夜間痛が起きることもある。

下図の青〇が
鵞足(がそく)である。





痛みは ほとんど片方ずつ出る。
両方が同時に出ることは少ない。

鵞足(がそく)は
3つの大きな筋肉が集中し附着する部位であり
力学的に荷重が強くかかかり痛みが出る。

縫工筋   ほうこうきん  非常に長い骨格筋
薄筋   はっきん  恥骨からはじまる
半腱様筋 はんけんようきん  坐骨から始まる


千代菊さんが
なぜ鵞足炎(がそくえん)になりやすいかというと
先に話したように 歩行距離がひどく多い、
タタミでの立ったり座ったりの起居を繰り返し、
が大きな原因であるが それ以外に
膝の下の下腿かたいがX脚になっている。
足首が回内足になっている。
が大きな原因となっている。

X脚
とは下図の真ん中の図である。
膝から下がX の文字になっている。




足首の回内足とは 
下図のように
下肢の重心線が足首で折れてしまっている。



千代菊さんの下肢はまさにこうした特徴を持っている。
さらに
千代菊さんの立ったり座ったりの姿勢が
二―イン・トゥアウトの姿勢をとってしまうことである。
二―イン・トゥアウトとは
以下の図のように膝が内側に入りこんでしまっている。


この膝の位置で立ったり座ったりを繰り返すと
鵞足炎(がそくえん)になりやすい。

千代菊さんの場合
ひとたびの整体施術の2時間程で激痛は消えるが
やっかいなことに
またひと月ほどすると来院となる。

鵞足炎(がそくえん)になる原理と理由と対策を
よく理解している
千代菊さんであるが
なかなか完治しないのである。

X脚と回内足という体の特徴、
日々の温泉宿の動き、
これらの改造を目下はかっている途上であるが
それは
日本の伝統的な座敷文化の所作動作の掟を
はからずとも革新してしまう
道につながるかもしれない・・・

  2023年10月
  睡眠障害背中治す
レプカ

1987年 生れ


レプカの睡眠障害は 

いわゆる入眠障害(寝つきの悪さ)といい

寝つきに入るまでに長い時間を要するのである。

はなはだしい時は、

2時間も3時間も入眠できず悶々と暗闇の中で寝入るのを

ひたすら祈るように待つことになる。

こうなると 眠りは、 

あせればあせるほど遠のき 体は極度の疲労に満ちてくる。 

頭の中は ますます混乱が広がる。

さて やっとのことで

入眠に落ちると 朝までには2回ほど

中途覚醒(睡眠中に目が覚める)で目が覚めてしまう。

さいわい中途覚醒の後はなんとか再入眠できるので 

これだけはほっとできるらしいが・・・

こうした睡眠障害は ひんぱんにやってくるので 

そのたびにレプカは整体を予約してくる事になる。

来院して整体をうけた後のしばらくは、 

すこやかな睡眠をおくれるが 

またある期間を置くと睡眠障害が再来する。

なぜ睡眠障害のこうしたパターンが来るのか? 

その再来する要因をレプカはなんとかさぐろうとするが

なかなか睡眠障害到来のメカニズムは解明されてはいない。

今日はたくさんの戸外の運動もおこない 仕事もはなれ 

十二分にリラックスし 取り立ててストレスもなく 

胃腸も絶好調 今晩はすぐ眠りにつけるぞ!

というような日に限って 数時間入眠できなくて 

ベッドの中で懊悩が続く ということもあるらしい。

レプカの仕事は中国語のベテラン通訳で 

仕事中はかなりの緊張を要して 時に、

明日は大事な一番という夜にも

睡眠障害
におちいり七転八倒するらしい。



レプカの場合 睡眠障害を治す鍵はその背中にある。

背中というのは、いわゆる精神的な疾患、

たとえば、

自律神経失調、不安障害、躁うつ病 パニック障害  PTSD

の全般に対しての緩和に大きな効能をもたらす重要な部位である。

もちろん

睡眠障害
に対しても有効な寛解をもたらす部位なのである。

レプカが睡眠障害におちいり深刻な様相でやってくる時は

かならず背中の強い硬直を呈し 

さまるで分厚い鋼板が背中に張り付いた様相をおび

同時に 呼吸も浅くなり息苦しさを強く訴える。

背中の硬直はおうおうにして呼吸困難をもたらすのだ。

呼吸の困難が長引くと 次には、

自律神経の乱調をもたらし 

交感神経と副交感神経の微妙なバランスがくずれ

入眠に必要な副交感神経が優位に立つ状態が訪れず 

結果、

入眠はますます遠のいてしまう。

このような事態になった場合は、

硬直した背中を柔軟にする事で やすらかな睡眠をもたらす。

レプカも 

重度の睡眠障害を訴える時は 頚部が背部の筋肉群に連結され

頚部が背部が一体化した岩石の様にかたまりとなり

びくともしなくなっている事が多い。

ただし

背部にある筋肉群は幾層にも重なり、多方面に広がりをみせる為

その筋肉群の走行形態を理解し施術のプランを立てないと

 短時間で柔軟性をみない。

また、

背部筋肉群は頚部との連接も特徴的であり 場合によっては

頚部と背部を同時に追求せねばならない時にも遭遇する。




こうして本日も レプカは 

施術が終了した後 紅潮した笑顔で大きな深呼吸をして

背部を波の様に鷹揚に動かしながら 

『 今夜は sound sleepができそうです! 』と

帰っていったのである。




 2023年9月
 腹筋トレーニングで深刻な腰痛



ロンリネス

1999年 生まれ



  
 

コロナ禍ですっかり運動不足におちいり 

おなかがポッコリでてきたロンリネスは、

24歳の誕生日を機に

ジムがよいを始め,ひきしまった腹をつくろうと

ジムのトレーナ―の指導どうりモクモクと腹筋を続けたが

1週間ばかりすると 

突然腰に激痛が走り動けなくなってしまった。

ロンリネスの母親に介添えされ冷や汗を垂らしながら

当院に達するや

痛みで野獣のような叫び声を出していたのである。

聞けば、

ジムで『シットアップ』という腹筋運動を連日続け 

内臓脂肪と皮下脂肪をそぎ落とし 

腹直筋の縦割りになった6パックをもたらそうとの掛け声で

若いトレーナーの激励をうけつつ

陶酔の極致でがんばったとのこと、

そのかいもなく ポッコリおなかは少しもへこまず

ぎっくり腰だけもたらされた・・泣くに泣けない事態となった。


 
   

この腹筋トレの代表的な『シットアップ』のやりすぎ、

あるいは

やりかたのまちがいで腰を痛める人は 後をたたない!

なぜなら 『シットアップ』は

背部の筋肉群を刺激過ぎて多大な負荷がかかることにより 

もともと背部や腰回りの筋肉群が硬直しているひとが

それらの筋肉群をゆるめずに『シットアップ』を続けることで

腰部筋肉群に炎症が起こってしまうのである。

これが腰痛を誘発する。

下図を見てわかるように 

『シットアップ』は 背部が猫背の様に

丸かってしまう時間が長くなり 

この『シットアップ』特有の体位保持が

背部と腰部の筋肉群を直撃してしまう。

さらに 

腹部の引き締めの効果を一刻も早く!

という焦りと希求の強さが 

腹部前部をさらに屈曲し つまりエビの腹のように内側に

極端にまげることにより 

自分の視線からみりと腹部がへこんだ感じがして

腹部のひきしめがあたかも実現しているような錯覚にとらわれる。

この 

エビの腹のように内側に極端にまげることが腰痛の出現を促進する。




   
   
   



ロンリネスの腰痛はまさに 

こうしたメカニズムの典型的な発症となった。

ロンリネスはもともとは

スリムな体型をして筋肉量もそれほど多くはない。

ただし 筋肉群の柔軟性はいちじるしく欠如しており 

肩から背部〜腰部と重度の硬直をしている体質となっていて 

以前から それらがこうじて頭痛や背部痛がひどくなると 

当院にきて治療をしていたのである。

こうしたタイプの人が 

突然『シットアップ』を始めると こうした

急性の腰痛を引き起こすのである。 

また ここで強調しておきたいのは、

『シットアップ』だけをひたすらやったとしても 

なかなか腹部の引き締めの

ねらった効果は出にくいのである。

それは 『シットアップ』は

腹筋筋肉群の内のひとつである腹直筋を

ねらったトレーニングであるが 

腹直筋だけの刺激だけでは 腹部はなかなかしまってこない。

腹筋筋肉群は合計4つあり 

これらも同時に鍛えるトレをしなければいけない。

つまり腹筋筋肉群のインナーマッスルもアウターマッスルも

同時にトレをしなければいけない。

また そのうえに 内臓脂肪と皮下脂肪もたっぷりある人は

この脂肪群をへらす努力を同時にしなければならない。

ロンリネスの場合は 

この内臓脂肪と皮下脂肪は少ないのでこの工程は

はぶかれるのではあるが・・・


 2020年2月
 顎関節症がくかんせつしょう のつらさ



ビアンキ

1964年 生まれ
 

ビアンキが最初に整体を訪れたのは 2017年の9月、

坐骨神経痛と腰痛を訴えて友人の紹介で来院したのが始まり。

デスクワークで一日中 座位姿勢が続き

尾骨と坐骨がイスにあたるポイントがひどく悪く 

尾骨痛、座骨神経痛、腰痛で慢性的に苦しんできた。

ほぼ半年の通院で これらの緩解をみて ほっとしたところ

次に 

顎関節症があらわれ 咀嚼に痛みがでて 難渋するようになった。

いわゆる顎関節症の発症である。


左あごが 食べる時痛くて 咀嚼できなくなる。

左あごが快適になると 今度は右あごが同様になる。

また 

会話も 長くしゃべっているとあごがだるくなり疲れてしまう。

時に 頬ほほが猛烈に痛くなる。


顎関節は 

頭蓋骨と下あご骨がかみあう独特な関節であり

形状がくぼんだ穴に入りこんだ形になっており 

いったん不調になると痛みが出やすい特徴を持っている。

このくぼんだ関節の頭蓋骨と下あご骨の間には

関節円板というクッションの役目をはたす 

コラーゲンがぎっしりつまった

緩衝材が存在して この関節円板が滑らかに動くことで

顎関節の健全が保たれている。





顎関節症とは 

つまり この関節円板がはずれてひっかかり、

ひっかかるとき音が大きくしたり、

口を開く時に痛みがでたりする。

では なぜ 関節円板にこのような異常が発生するのか?

もっとも多いケースは 次の様な展開で進行する:

まず 顎関節につながる筋肉群の硬直が現れる。

つぎに この筋肉群の硬直によって じわじわと

アゴ関節のまわりにある靭帯と関節包が炎症をおこす。

そしてついには 

関節のど真ん中にある関節円板の動きに異常が起こる。


ビアンキの顎関節の発症も まさに 

この典型的な発症過程どうりで進行してきたのである。


はじまりは 

猛烈な肩こりと首から耳に至る痛み、そして胸の痛みであった。

施術によって 

肩こりと首から耳、胸の広域な筋肉硬直がおさまると

顎関節の動きと痛みは おさまるが また時間がたち

猛烈な肩こりと首から耳に至る痛み、

そして胸の痛みがでると

とたんに顎関節の不調がお起こる・・・

こうした繰り返しが続いたため 

月に2回の通院で ほぼ半年が過ぎるころ、

顎関節症の症状も終息をみたのである。


顎関節の推移は ビアンキと同様の過程で終息に至ることが多い。




 2020年2月
 ホットフラッシュに悩む
 


フェンテス

1969年 生まれ


 ホットフラシュは 閉経前後の時期にあたり ひんぱんに

 体のある特定のエリアのみが異常にほてり、多くの汗が噴き出す。
 
 ときに のぼせ、イライラ、倦怠感、 なども併発して

 冬の寒いさなかや、エアコンで冷えている時も

 顔特定のエリアだけ熱くなり、

おびただしい汗で服はびっしょり濡れ、

 それでも 足先だけは異様に冷たい・・・

 こんな様相が ホットフラッシュと呼ばれる。


 医者では 

更年期障害で自律神経失調症と診断されることが多い。

 フェンテスが まさにその典型的症状である。


 もともと フェンテスは 

 首肩の慢性的なコリ、腹・尻・大腿の強い冷え、湿疹、

 眼精疲労、ドライアイ、片頭痛、 ・・

 などなどの訴えが強く、

最近 とみに ホットフラッシュが頻発する。


 このような症状の場合 

整体の第一先行して行う対処は、

 多彩な自覚症状のうち 

もっとも早く効果の出そうな不定愁訴を

 最速で解決する事から始める。

 不快なうち ひとつでも軽快な解決をみると 

その快感と幸福感が

 自律神経失調を改善する道のりの最初のきっかけとなるのである。

 フェンテスのケースでは 

こうして 最初のハードルは

 首肩の慢性的なコリと眼精疲労を軽減する事であった。

 フェンテスはデスクワークが長い時間に及び 

さらに近視であるために

 慢性の首肩コリ・目の疲れがひどく その不快が 

 自律神経のリズムをたえず乱調させているのである。


 更年期障害とは、

 卵胞の発育とともに産出される女性ホルモンのエストロゲンのうち

 エラストラジオールの分泌が低下してくる。

 同時に 下垂体から分泌される 

 黄体形成ホルモンと卵胞刺激ホルモンが 増加してくる。

 自律神経失調症は

 この黄体形成ホルモンと卵胞刺激ホルモンの増加により発生する。

 女性の排卵する卵子の数は 一生涯において決まっており、

 このため 

ある年齢に達すると 息のいい卵胞は減少していき 

やがて

 閉経により 卵胞は消滅する。 

 こうして卵巣が

 徐々に機能低下していき閉経に至る期間が

 更年期の前半期にあたる。

 閉経後に 更年期の後半が始まる。


 閉経後も 

 女性ホルモンであるエストロゲンそのものは分泌を止めない。

 それは 閉経後は 

 副腎皮質の臓器からの分泌物が脂肪組織において

 エストロゲンを産出するからである。


 このため 

この時期に 脂肪細胞があまりに少なく やせすぎであると

 女性は

エストロゲンが枯渇しやすく不調がさらにひどくなりやすい。
 

 フェンテスは

 月に 2度ほど ひどいホットフラッシュにおそわれる。

 ホットフラッシュを引き起こす要因の原理的なものは

想像がつかず前触れなしに 

一気に サァーとやってくるそうだ。


 月に 2度、3度の施術で 

 肩首の詰まりがかなり軽快になり目の疲労も軽減すると

 ホットフラッシュに対抗できる精神力もついたようである。


 自律神経の失調からの回復は

 特に女性においては 

骨盤の自在の動きができるようになると

 軌道に乗りやすい。

それは 骨盤を取り巻く筋肉群には 

自律神経で動く筋肉が多数に配置されている。

このため これらの筋肉群が

 硬直という くびきをはなれ 

 自在に動けるようなのびのびとした環境になると

 そのフィードバックシステムが作動して 

 自律神経の健全がもたらされるのである。


 更年期障害に対しては

 それ自体は 女性の経年変化のひとつであるので

 『 なすがまま 』という 腹のくくり方をしてみると

 意外に その症状が 軽微になっていくこともある。




  
 2018年2月
   中指の秘密
 


バディンソン

1986年 生まれ


朝早くから 食品市場で働くバディンソンは

重い冷凍食品などを自ら運ぶので 

その疲労が抜けず 肩から背中、両下肢の

過度の荷重で 間隙的な痛みが頻発し 睡眠も障害が強い。

このため 

つらくなると 息も絶え絶え 整体にやってくる。


さらに 

最近は 手の中指が左右ともに バネ指症状が出て、

バネの様に中指が 跳ね上がる。

同時に 中指に むくみ、痛み、シビレ が併発する。

これは 重量物を もちすぎることで

前腕の筋肉群と 中指につらなる腱の負荷が強く

そこに炎症を起こしてしまっている ことによる。

具体的には、

深指屈筋   しんしくっきん

浅指屈筋   せんしくっきん

虫様筋    ちゅうようきん

背側骨間筋 はいそくこっかんきん


以上の4本の前腕にある骨格筋と中指の各関節に伸びる腱である。

中指の負担を重くしているのは 

さらに、

肩甲骨から背中にかけて筋肉群のの強烈な硬直により

本来 体幹で受けれる重量物の重量が 

やむなく

末端の中指に異常にかかってしまっていることも

大きな要因である。


では 

なぜ中指にのみ発症し 他の指に発症していないのかというと

それには中指の秘密がある。


実は 

こうした重量物を 手のひら全体で受けて持つ場合

一番 荷重を受けて対抗できるのが 中指であり

中指のこうした強靭さのため 知らず知らずのうちに 

中指を一番酷使していることになっている。

これによって 中指に障害が出やすいのである。


中指が 

一番に力を受けれるのも身体の構造的な理由からきており

中指が 

身体の奥のラインで背骨につながっており

背骨の力が中指にダイレクトで伝播し 

また

中指にかかる力がダイレクトに背骨に伝わり 

という仕組みがある。


つまり 

中指と背骨が一本の力学的ラインでつながっている。

これによって 

中指は指の中では 最も大きな力に対抗できる。


また 中指は最も耐久力があり 

たとえば、

こころみに机の上などをトントンと長時間にわたりたたく場合 

5本の指で最も疲れが出ないのが 中指である。

それは 中指が体幹の中心から支えられているため 

消費力量が少ないことによる。


たとえば 武道や喧嘩の世界で

相手の中指を動けないようにロックしてしまうと

相手は からだじゅうの力が抜けるようになってしまい

対抗するパワーが虚弱となり こちらの思うつぼとなる。

つまり 虚をつかれることである。


中指にはこうした秘密がある。


このような身体構造の特性があるため 

バディンソンの中指を治すためには

遠回りであるが

肩と背中の硬直を柔軟化させ

中指と背骨を直結のパワーが往来する

特別なルートを作らねばならない。



 2018年1月
  O脚と坐骨神経痛の密接度 
  


アレクサンドラ・ダダリオ

1973年 生まれ


O脚のひとが 坐骨神経痛を発症すると

おもいのほか 坐骨神経痛の回復が長びくことがある。

なぜかというと 

O脚のもついくたの特性が 回復の障害となるのである。

O脚も その原因と根源は さまざまであるが

骨盤を取り巻く筋肉群の異常な硬直によりO脚が出ている場合が

坐骨神経痛の回復をおくらす要因となり、

O脚と坐骨神経痛の密接度が 頭の痛い問題となるのである。

アレクサンドラ・ダダリオの場合が これにあたる。

当初 

左でん部から足甲にかけて 強い痛み,しびれ、重ダルサがとれず

夜間もおさまらず 眠れない日が続いたのである。

2017年の秋口に 最初に施術して ほどなく

2回ほどの施術で 夜間の苦しみからは解放されて 

充分な睡眠はとれるようになってひと息はつけたのであるが

長時間にわたり車の運転した後や 疲れがひどい時は

症状が出現し すっきりとはしないのである。

こうした ゆるゆるとした回復曲線しか描けない原因が

ダダリオが十年来

気になってしようがなかったO脚と関連していると

指摘すると

悲しそうな表情で がっくりするのであるが

何度も 

O脚と坐骨神経痛をセットで治療していく方針を解説すると

明るい笑顔が かろうじて浮かぶのである。

O脚と坐骨神経痛との密接度は 意外に深く

その根源は つまりは

骨盤を取り巻く筋肉群の異常な硬直なのであるが

デスクワーク、座位で話す仕事、運転と なかなか忙しく

硬直した筋肉群が 柔軟を取り戻す時間が少なく、

原因は わかっていても 

思うような速度で終着点にたどりつけないのが

憂鬱となっている。


 2017年8月
  子宮がん術後のリンパドレナージュ 
 


アシュトン

1969年 生まれ
 
アシュトンは ヘアー・スタイリスト。

昨年 子宮がんで鼠径部リンパの摘出を行い、 

リンパ節のリンパを 39個摘出した。

その後 後遺症で 

鼠径部の深部の痛み、重ダルさ、および

大腿部からふくらはぎの むくみとしびれ、で悩まされる。

ホームページの閲覧で 初めて MIKUNIに来院する。

特に左足の症状が強いため 左下肢の全体を触診したところ

むくみ自体は 重篤に至っていないが

鼠径部〜大腿〜下腿にかけて 筋肉群の硬直がはなはだしく

それが 痛み、重ダルさ、むくみ、しびれ を誘発する

大きな原因と みてとれたので

鼠径部リンパの摘出後の リンパドレナージュと並行して

下肢全体の筋肉群の柔軟化に取り組む ことにした。

きけば アシュトンは 生来 このかた 筋肉が硬く

運動嫌いで ほぼこれといった運動歴もなくすごしてきたが

がんによる鼠径部リンパの摘出で 複合的に

こうした症状が 強くなったのである。

リンパドレナージュは こうした場合 

まず 

リンパ系が最終的に静脈に合流する鎖骨上窩をよくほぐし

受け入れ態勢を 整えてから スタートする。

次に 健全な上半身の腋下リンパ節に 

鼠径部より上部のリンパを誘導して しかる後に

下肢部の 膝裏リンパ節の受け入れ体勢を整えてから

下腿部 大腿部 さらに 鼠径部偏と誘導して

最終的にふたたび 腋下リンパ節に誘導をおこなう。

おおざっぱにいえば これが 

鼠径部の摘出後のリンパドレナージュの手順である。



 
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